093529 ランダム
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目指せ!シナリオライター

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姑は年下

姑は、年下

人物
赤田 里香(35)主婦
赤田 陽子(34)その姑・淳一の父親の後妻
赤田 淳一(30)その夫・会社員

○ 赤田家・全景
    都内の高級住宅地。
    大きな門構えの豪邸。
    門に「赤田」の表札。

○ 同・玄関・中
    ブランド品の靴ばかりが並ぶ。

○ 同・リビング
赤田里香(35)が赤田淳一(30)の頬を引っぱたく。
里香「こんなこと聞いてないわよ」
    淳一は、頬を押さえている。
淳一「とても言えなかったんだ。俺のイメージも悪くなるような気もして、本当にごめん」
    里香は、溜息をつく。
里香「先に籍なんか入れるんじゃなかったわ。これじゃ、バツ1になっちゃうし、私の人生に傷がついちゃうし・・・」
    赤田陽子(34)がコーヒーを持って入って来る。ボディコン服にミニスカート。
陽子「どうしたの?淳一さん。大丈夫?」
    陽子は、淳一の頬を覗う。
淳一「大丈夫だよ。心配しなくていいよ。義母さん」
    里香は、二人の様子を見て頭を抱えている。
    陽子は、里香を睨む。
陽子「里香さん、新婚早々DVはやめてくださいね」
里香「人聞き悪いこと言って。陽子さん、淳一さんはもう子供じゃないのよ。この後妻のくせに淳一さんは、渡さないわよ」
    淳一は、陽子の胸元に目をやる。
    里香が、淳一の頬を叩く。
里香「仮にも自分の母親にそんな感情を持って恥ずかしくないの」
陽子「その服、いま流行のマニクロですの?確かに安そうね。色気なんか一片もないわね」
里香「その年になって、そんな服着てる気がしれないわ」
    淳一は、陽子の胸に目をやる。
里香「あなた」
淳一「そんな気はないんだけど、男の性なんだよ」
    里香と陽子が睨み合う。

○ アアーソーカ堂・食品売り場 (夜)
    多くの主婦たちに混ざってカートを押す里香。
    人参・玉葱・肉を次々とぎこちない手つきでカゴに入れていく里香。
    手前から陽子がカゴを持って歩いてくる。
陽子「もしかして、カレーにするつもり?淳一さん、夜はきっちり食べたいのよね。まあ、キャリアウーマンあがりのあなたじゃね」
    カゴに入れた品物を戻しに行く里香。
里香N「人生経験だって、社会経験だって私のほうが上なんだぞ。金目当てのママ母が」
    陽子は、買い物を済ませ、出て行く。

○ 赤田家・全景(夜)

○ 同・リビング(夜)
    キッチンでは、陽子が夕飯の支度をしている。
    里香が、入ってくる。
陽子「あら?何も買って来なかったの?」
里香「二人で別々の物作るのもおかしいでしょ?まずは、陽子さんの味を知っておこうと思って」
陽子「そんなこと気にしないでいいわよ。炊事洗濯は、私に任せてもらっていいのに。慣れないことしないで新しい仕事探して来たら?」
里香「いえいえ、私も主婦のはしくれだから。何事もしっかりやりたい方なんで」
淳一の声「ただいま」
里香「あっ、帰って来た」
陽子「ちょうど出来た。帰ってから夕飯を待たせるのは、よくないのよ。時間の制約だってあるんだからね」
    苦笑する里香。
里香N「こっちだってそんなの仕事で経験済みだよ」
    淳一が、入ってくる。
淳一「おー、今日もおいしそうだな」
里香「私も勉強して美味しい物作れるようになるからね」
淳一「うん。期待してるよ。義母さんは、料理学校出てるから、教えてもらうといいよ。焦らずにね」
    陽子が、食卓に料理を並べていく。
    里香は、煮物や味噌汁を口に運ぶ。
里香N「くやしいけどおいしいわ」
    陽子は、里香の顔を見る。
陽子「どう?参考になった?里香さん。まあ、これくらいになるには二、三年は頑張らないとね」
里香「陽子さんは、確かに料理上手だわ。社会経験がないから、人が何言われたら嫌なのかわからない。そんな人の料理のレベルたかがしれてるわ」
    淳一は、二人のやりとりを目で追っている。
    里香と陽子は、立ち上がろうとする。
淳一「もう二人ともやめろよ。夕飯くらい楽しく食べようぜ」
    里香は、淳一を睨みつける。
里香「もとはと言えば、あんたのせいでしょ?こんなこと隠しとくから。悪いと思ってるなら、少しは私のことかばいなさいよ」
    陽子は、淳一を背中で隠す。
陽子「また、殴ったりしたらただじゃすまないわよ」
    淳一は、陽子に隠れるように身を潜める。
里香「あーあ。情けない。陽子さんもそうだけど、こんな男と結婚した自分が嫌になるわ。本当に」
    肩を落としリビングを出て行く里香。
    テーブルには、里香の料理が残されている。

○ 里香の部屋(夜)
    里香は、ボストンバッグに荷物をまとめ始める。
    淳一が、入ってくる。
淳一「何、してるんだ?」
里香「みりゃわかるでしょ。出て行くのよ」
淳一「いくあてあるのかよ?」
里香「私一人くらいなんとかなるわよ」
    淳一は、里香の荷物を取り上げる。
里香「何するのよ。返しなさいよ」
淳一「頼む。出て行かないでくれ。頼む。俺、だめになっちゃうよ」
    里香は、部屋に飾ってある赤田義男の遺影を見る。
里香「あなた、赤井社長の息子でしょ?社長は、どんなときもひるまなかったわよ。本当  
に憧れの人だったわよ。その息子がこんなんじゃ。どうしようもないわよ。社長になん
でしょ?強くなりなさいよ」
淳一「そのためには、里香が必要なんだ。そばにいて助けてくれよ」
    淳一は、座り込む。
里香「じゃあ、陽子さんと別れて暮らしましょう」
淳一「義母さんは、親父と結婚したころから、近所で金目当てだとか近所から白い目で見られてきたんだ。親父が死んでからは、さらにエスカレートしてきて。親父が死んで一番ショックだったのに。気休めに料理学校に通えば、道楽だと言われる。義母さん守れるの俺しかいないんだ。俺も義母さんに里香のことわかってもらえるようにするから。我慢してくれ」
里香「そうなんだ。少しは我慢するよ。でも、次、我慢出来なくなったら出て行くからね」
    淳一が、里香に顔を近づけてくる。
里香「やめてよ。そんな気分じゃないのに。陽子さんが起きてるわよ」
淳一「もう寝たよ。義母は、寝たらなかなか起きないよ」
    里香と淳一は、ベッドに入る。
    布団の中で二人の体が激しく動いている。

T・一年後
○ 赤田家・全景

○ 同・里香の部屋(朝)
    カーテンから朝日が射し込んでいる。
    布団をかぶっている里香。
    淳一が、入ってくる。
淳一「どうした?具合が悪いのか?二、三日引きこもりっぱなしじゃないか」
    淳一が布団を取ろうとすると、里香が強く引っ張り返す。
淳一「じゃあ、行ってくるよ。何かあったら義母さんに言うんだぞ」
    淳一は、出て行く。
    里香は、ドアに向かって枕を投げつける。
里香「どうして、お義母じゃなくて、俺って言えないのよ」
    里香は、布団をかぶる。
陽子の声「買い物に行ってきますよ」

○ 同・リビング
    里香は、陽子の作ってあった朝食を食べ始める。
    外から激しい衝突音が聞こえてくる。
       × × ×
    家の電話が鳴る。
里香「えっ、陽子さんが、車にはねられた?病院は?」
    里香は、慌てて家を飛び出していく。
 
○ 東京国際大病院・全景
    大きな駐車場。
    病院に出入りする人たちの群れ。
○ 同・302号病棟・中
    陽子がベッドに寝ている。
    里香が入ってくる。
里香「よかった。軽くて。痛みは取れた?」
陽子「里香さん、一番に来てくれたの?あんなに嫌なことばかりしてきたのに」
里香「家族じゃない。ちゃんと、淳一さんにも連絡しといたわよ。軽いから来なくていいって言っておいたから」
陽子「ふふっ」
    陽子は、窓の外を見る。
陽子「私ね、淳一さんのお父さんの秘書だったの。女性関係が多い人で私も金目当てだって言われた」
    里香は、陽子を見つめる。
陽子「近所の人も白い目で見てるのわかったし。特に夫が死んでからはあからさまにね」
    陽子の目に里香はハンカチをあてる。
陽子「料理の勉強は、道楽だって言われたし。でも、淳一さんは、気にするなって言ってくれて。義母さんとも呼んでくれた。でも、あなたが来て捨てられるのかと思ったの」
    里香は、陽子の手を取る。
里香「そんなことは、絶対しない。させないわよ。私たちのお義母なんだから。そんなことしたらまた殴ってやるから」
    里香は、握り拳をつくる。
陽子「今度、病院に来る時は、あなたがベッドの上ね」
    陽子は、里香のお腹をさする。
陽子「もう、いるんでしょ?」
里香「その若さでおばあちゃんよ」
    二人、見つめあい吹き出す。 
                                終わり
注・N・・・ナレーション
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