姑は年下姑は、年下人物 赤田 里香(35)主婦 赤田 陽子(34)その姑・淳一の父親の後妻 赤田 淳一(30)その夫・会社員 ○ 赤田家・全景 都内の高級住宅地。 大きな門構えの豪邸。 門に「赤田」の表札。 ○ 同・玄関・中 ブランド品の靴ばかりが並ぶ。 ○ 同・リビング 赤田里香(35)が赤田淳一(30)の頬を引っぱたく。 里香「こんなこと聞いてないわよ」 淳一は、頬を押さえている。 淳一「とても言えなかったんだ。俺のイメージも悪くなるような気もして、本当にごめん」 里香は、溜息をつく。 里香「先に籍なんか入れるんじゃなかったわ。これじゃ、バツ1になっちゃうし、私の人生に傷がついちゃうし・・・」 赤田陽子(34)がコーヒーを持って入って来る。ボディコン服にミニスカート。 陽子「どうしたの?淳一さん。大丈夫?」 陽子は、淳一の頬を覗う。 淳一「大丈夫だよ。心配しなくていいよ。義母さん」 里香は、二人の様子を見て頭を抱えている。 陽子は、里香を睨む。 陽子「里香さん、新婚早々DVはやめてくださいね」 里香「人聞き悪いこと言って。陽子さん、淳一さんはもう子供じゃないのよ。この後妻のくせに淳一さんは、渡さないわよ」 淳一は、陽子の胸元に目をやる。 里香が、淳一の頬を叩く。 里香「仮にも自分の母親にそんな感情を持って恥ずかしくないの」 陽子「その服、いま流行のマニクロですの?確かに安そうね。色気なんか一片もないわね」 里香「その年になって、そんな服着てる気がしれないわ」 淳一は、陽子の胸に目をやる。 里香「あなた」 淳一「そんな気はないんだけど、男の性なんだよ」 里香と陽子が睨み合う。 ○ アアーソーカ堂・食品売り場 (夜) 多くの主婦たちに混ざってカートを押す里香。 人参・玉葱・肉を次々とぎこちない手つきでカゴに入れていく里香。 手前から陽子がカゴを持って歩いてくる。 陽子「もしかして、カレーにするつもり?淳一さん、夜はきっちり食べたいのよね。まあ、キャリアウーマンあがりのあなたじゃね」 カゴに入れた品物を戻しに行く里香。 里香N「人生経験だって、社会経験だって私のほうが上なんだぞ。金目当てのママ母が」 陽子は、買い物を済ませ、出て行く。 ○ 赤田家・全景(夜) ○ 同・リビング(夜) キッチンでは、陽子が夕飯の支度をしている。 里香が、入ってくる。 陽子「あら?何も買って来なかったの?」 里香「二人で別々の物作るのもおかしいでしょ?まずは、陽子さんの味を知っておこうと思って」 陽子「そんなこと気にしないでいいわよ。炊事洗濯は、私に任せてもらっていいのに。慣れないことしないで新しい仕事探して来たら?」 里香「いえいえ、私も主婦のはしくれだから。何事もしっかりやりたい方なんで」 淳一の声「ただいま」 里香「あっ、帰って来た」 陽子「ちょうど出来た。帰ってから夕飯を待たせるのは、よくないのよ。時間の制約だってあるんだからね」 苦笑する里香。 里香N「こっちだってそんなの仕事で経験済みだよ」 淳一が、入ってくる。 淳一「おー、今日もおいしそうだな」 里香「私も勉強して美味しい物作れるようになるからね」 淳一「うん。期待してるよ。義母さんは、料理学校出てるから、教えてもらうといいよ。焦らずにね」 陽子が、食卓に料理を並べていく。 里香は、煮物や味噌汁を口に運ぶ。 里香N「くやしいけどおいしいわ」 陽子は、里香の顔を見る。 陽子「どう?参考になった?里香さん。まあ、これくらいになるには二、三年は頑張らないとね」 里香「陽子さんは、確かに料理上手だわ。社会経験がないから、人が何言われたら嫌なのかわからない。そんな人の料理のレベルたかがしれてるわ」 淳一は、二人のやりとりを目で追っている。 里香と陽子は、立ち上がろうとする。 淳一「もう二人ともやめろよ。夕飯くらい楽しく食べようぜ」 里香は、淳一を睨みつける。 里香「もとはと言えば、あんたのせいでしょ?こんなこと隠しとくから。悪いと思ってるなら、少しは私のことかばいなさいよ」 陽子は、淳一を背中で隠す。 陽子「また、殴ったりしたらただじゃすまないわよ」 淳一は、陽子に隠れるように身を潜める。 里香「あーあ。情けない。陽子さんもそうだけど、こんな男と結婚した自分が嫌になるわ。本当に」 肩を落としリビングを出て行く里香。 テーブルには、里香の料理が残されている。 ○ 里香の部屋(夜) 里香は、ボストンバッグに荷物をまとめ始める。 淳一が、入ってくる。 淳一「何、してるんだ?」 里香「みりゃわかるでしょ。出て行くのよ」 淳一「いくあてあるのかよ?」 里香「私一人くらいなんとかなるわよ」 淳一は、里香の荷物を取り上げる。 里香「何するのよ。返しなさいよ」 淳一「頼む。出て行かないでくれ。頼む。俺、だめになっちゃうよ」 里香は、部屋に飾ってある赤田義男の遺影を見る。 里香「あなた、赤井社長の息子でしょ?社長は、どんなときもひるまなかったわよ。本当 に憧れの人だったわよ。その息子がこんなんじゃ。どうしようもないわよ。社長になん でしょ?強くなりなさいよ」 淳一「そのためには、里香が必要なんだ。そばにいて助けてくれよ」 淳一は、座り込む。 里香「じゃあ、陽子さんと別れて暮らしましょう」 淳一「義母さんは、親父と結婚したころから、近所で金目当てだとか近所から白い目で見られてきたんだ。親父が死んでからは、さらにエスカレートしてきて。親父が死んで一番ショックだったのに。気休めに料理学校に通えば、道楽だと言われる。義母さん守れるの俺しかいないんだ。俺も義母さんに里香のことわかってもらえるようにするから。我慢してくれ」 里香「そうなんだ。少しは我慢するよ。でも、次、我慢出来なくなったら出て行くからね」 淳一が、里香に顔を近づけてくる。 里香「やめてよ。そんな気分じゃないのに。陽子さんが起きてるわよ」 淳一「もう寝たよ。義母は、寝たらなかなか起きないよ」 里香と淳一は、ベッドに入る。 布団の中で二人の体が激しく動いている。 T・一年後 ○ 赤田家・全景 ○ 同・里香の部屋(朝) カーテンから朝日が射し込んでいる。 布団をかぶっている里香。 淳一が、入ってくる。 淳一「どうした?具合が悪いのか?二、三日引きこもりっぱなしじゃないか」 淳一が布団を取ろうとすると、里香が強く引っ張り返す。 淳一「じゃあ、行ってくるよ。何かあったら義母さんに言うんだぞ」 淳一は、出て行く。 里香は、ドアに向かって枕を投げつける。 里香「どうして、お義母じゃなくて、俺って言えないのよ」 里香は、布団をかぶる。 陽子の声「買い物に行ってきますよ」 ○ 同・リビング 里香は、陽子の作ってあった朝食を食べ始める。 外から激しい衝突音が聞こえてくる。 × × × 家の電話が鳴る。 里香「えっ、陽子さんが、車にはねられた?病院は?」 里香は、慌てて家を飛び出していく。 ○ 東京国際大病院・全景 大きな駐車場。 病院に出入りする人たちの群れ。 ○ 同・302号病棟・中 陽子がベッドに寝ている。 里香が入ってくる。 里香「よかった。軽くて。痛みは取れた?」 陽子「里香さん、一番に来てくれたの?あんなに嫌なことばかりしてきたのに」 里香「家族じゃない。ちゃんと、淳一さんにも連絡しといたわよ。軽いから来なくていいって言っておいたから」 陽子「ふふっ」 陽子は、窓の外を見る。 陽子「私ね、淳一さんのお父さんの秘書だったの。女性関係が多い人で私も金目当てだって言われた」 里香は、陽子を見つめる。 陽子「近所の人も白い目で見てるのわかったし。特に夫が死んでからはあからさまにね」 陽子の目に里香はハンカチをあてる。 陽子「料理の勉強は、道楽だって言われたし。でも、淳一さんは、気にするなって言ってくれて。義母さんとも呼んでくれた。でも、あなたが来て捨てられるのかと思ったの」 里香は、陽子の手を取る。 里香「そんなことは、絶対しない。させないわよ。私たちのお義母なんだから。そんなことしたらまた殴ってやるから」 里香は、握り拳をつくる。 陽子「今度、病院に来る時は、あなたがベッドの上ね」 陽子は、里香のお腹をさする。 陽子「もう、いるんでしょ?」 里香「その若さでおばあちゃんよ」 二人、見つめあい吹き出す。 終わり 注・N・・・ナレーション T・・・タイトル・テロップで表示 ×××・・・時間経過 ジャンル別一覧
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